武道に限らず、道具を使うときには、どれだけその道具が自分の体の一部になっているか、が大切だと言われています。
剣武天真流では「入り迎え」という稽古があります。使いにくい刀でも自由に扱えるようになるために、刀を自分の中に迎え入れる、または、自分が刀の中に没頭する稽古です。
先日、意を決して、マイ模擬刀を手に入れることができました。先輩から譲りうけた模擬刀です✨
すると道友のみなさんから、「模擬刀を抱いて寝るといいよ」とアドバイスをいただきました。入り迎えの応用編です。
早速その通りにしてみました✨
その夜、布団の中で刀を抱いていると、周りや心の中の雑物が一切消え去って、シーンとした何もない空間が広がりました。まるでこの刀が全てのものを祓って、場を護っているように感じました。そういえば今までも、この模擬刀を持った途端に、すっと心が静かになって、周りの状況が全く心に影響しない感覚がありました。
模擬刀を抱きながら、「これからよろしくお願いします」と改めて挨拶をしたら、ふっと「明鏡」という名前が浮かんできました。
あなたの名前は明鏡さん??
後で調べてみると、「明鏡」とは、曇りの無いよく映る鏡のことでした。「明鏡止水」という諺は、邪念のない澄み切って落ち着いた心の状態のことです。あまりにそのままの名前なので、ちょっと笑ってしまいました。
それ以来、いつも抱いて寝ていますが、恐ろしいほど一瞬で眠りにつけます。刀が護っているという安心感があるからです。明鏡さんとも親近感が増して、抜刀も型も、格段にやりやすくなりました。
古来から三種の神器として草薙剣がありましたが、なぜ武器である刀が神器なのか不思議でした。今では、刀というものは(模擬刀であっても)魂が宿っていて、場を祓い、持ち主、そして人類の精神性を命がけで護っているのだと感じています。
いつか、この美しき魂の刀と溶け合い、この広大な宇宙と溶け合う演武ができるといいな~と、ますます精進いたします✨
美加りん